東京都”中央区びと。”に聞く中央区おすすめスポット
ソラリア西鉄ホテル銀座
開業は2011年9月。東銀座駅から徒歩1分、羽田、成田の両空港からのアクセスの良さも好評です。東京・銀座の中心で、心安らぐひとときをお愉しみください。
- ホームページ
- https://solaria-ginza.nnr-h.com/
- 住所
- 中央区銀座4-9-2
- 電話番号
- 03-6731-5555
銀座大野屋
「晴海通り」と「昭和通り」という二つの幹線道路が交わる「三原橋交差点」。東銀座駅の地上部分に位置し、その周囲にはノッポなビルばかりが立ち並んでいます。しかし、その一角に目を向けると、歴史ある木造の建物が、静かに、その存在を主張するかのように堂々と佇んでいます。この店が、私の大好きな銀座大野屋さんです。その風情のある外観に引き寄せられるように、引き戸を開けてみると、ガラガラと小気味の良い音。さまざまな和の小物たちがところ狭しと並ぶ店内と相まって、子供の頃に通った駄菓子屋さんを想起してしまうのは、私だけでしょうか。店内には、足袋をはじめ、浴衣の反物、雪駄や印伝など、日本の伝統的な品々が並べられています。なかでも私のお気に入りは、400種類以上の絵柄を揃えた手ぬぐいになります。

これらの手ぬぐいは、すべて銀座大野屋さんのオリジナルの絵柄だそうです。本染めの手ぬぐいは、絵を描いたオリジナルの図案ごとに型をつくり、糊を置いて染めていきます。型は保管して再利用しますが、やがて壊れるので、再度掘り直すことになるようです。柄の種類は、市松、うろこ、矢羽柄や青海波など、古くから愛されてきた古典柄をはじめ、その年の干支の柄をあしらったもの、インパクトのある隈取りや歌舞伎役者の家紋をあしらったもの、日本の花や植物を表現した植物柄、浮世絵風の美人画など、見ているだけでも飽きることがありません。当ホテルのお客さまにも、歌舞伎座での演目を愉しまれた後に、訪ねてみてはいかがでしょうと、お勧めするお店の一つです。それほど重くなく、かさばることもない手ぬぐいは、小粋なお土産として喜ばれると思います。和の小物たちに触れ、見比べながら、かつての日本のお店はこんな雰囲気だったのかなと、そんなことを感じていただけたら嬉しいです。
銀座大野屋さんの創業は、明治元年のこと。すでに150年以上の歴史があるのですね。江戸の時代には現在の晴海通りの向こう側に「三十間堀」という運河があって、現在の交差点名にもなっている「三原橋」が架けられていました。この堀際の通りが銀座の目抜通りで、多くの人で賑わっていました。そして、この通りで着物の染み抜き・洗い張り・仕立て直しなど行う「悉皆屋(しっかいや)」を営んでいたのが、銀座大野屋さんの本家にあたるそうです。そして、この本家の次男が独立し、当時は寂れた横丁だった現在地に、足袋屋を開いたのだそうです。当時、足袋の需要は凄まじく、月に3万足の売上がありました。現在の建物は、昭和26年頃に建てられたもので、平屋の店舗と二階建の作業場兼住居を並べた変則的なつくり。正面にショーウインドー、内部に帳場を残すその姿は、戦災直後の銀座の景観を伝える貴重な木造商業建築として、2025年3月、国の登録有形文化財に指定されています。


私が銀座で過ごすようになった当初は、有名なブランド店が軒を連ねる街だなと思っていました。そのイメージは徐々にかたちを変えて、ショッピングだけではなくて銀座のもう一つの魅力を味わってほしいと感じるようになりました。たとえば、大通りから一つ二つ裏側の路地を歩いてみると、それまで感じることのできなかった銀座の魅力が見つかるようになりました。ギャラリーやアンティークショップが多く立ち並ぶアートな街であることを発見したり、お稲荷さんなどの社を路地裏に見つけて、心が穏やかになることもあります。人に接する仕事を極めたいと考えてホテルでの仕事を選んだ私にとって、お客さまの期待を超えたご提案ができたときに、手応えを感じます。そして、ここでお伝えしたような銀座の新しい楽しみ方をお伝えし、お客さまの笑顔に接することができることが、私にとって大きなやり甲斐となっているのです。



