東京都”中央区びと。”に聞く中央区おすすめスポット
浜町商店街連合会 経新堂稲崎
日本橋に創業したのが天保6年。約180年の歴史があり、大経師の称号をたまわる表具店です。掛け軸や額装、屏風に襖などのほか、古美術の保存・修復も手掛けています。
- ホームページ
- https://www.kyoushindo.com
- 住所
- 中央区日本橋浜町2-48-7
- 電話番号
- 03-3666-6494
ナウマンゾウと浜町商店街

ナウマンゾウは、約34万年前から約1万5000年前までの日本列島に生息していたゾウなんですね。ですから、その発掘の地というのは、日本全国にあるのですが、この東京のまん中の浜町でもナウマンゾウの完全個体が発掘されています。発掘は1976年の2月、都営新宿線の掘削工事中のことでした。「浜町標本」と名づけられたこの化石は、出土した地層から約15万年前の東京周辺にナウマンゾウの群れがいたことを示しています。この標本は、八王子市にある東京都高尾自然科学博物館に展示されていましたが、閉館となっ現在は、八王子市内の施設に保管されています。私たちの活動は、それを浜町に取り戻そうというのではなく、そんな学術的にも貴重な標本が、浜町の地から出土されたという事実を、いまここにお住まいの方をはじめ、みなさまに広く知ってもらいたいという想いからスタートしています。

我々のような、この町に長く暮らす者は、地下鉄の工事も知っているし、発掘の報に接してもいます。ただ、この近辺にも多くのマンションやオフィスビルが建つなかで、ここに住まい、ここに通う人たちも増えているわけです。そのような浜町に縁のある人たちをはじめ、できるだけ多くの方に、貴重な歴史的遺産である「浜町標本」について知ってもらい、後世に受け継ごうと、一般社団法人日本橋浜町エリアマネジメント内にプロジェクトを発足させました。勉強会の開催をはじめ、「浜町標本」発掘の地であることを示す案内パネル設置。出土した化石の最初の保管場所となったビルの前には記念碑を製作しています。さらに2025年の1月には、全国のナウマンゾウ関係者を集めた「ナウマンゾウ・サミット」の開催を計画しています。
こうして私たちがナウマンゾウに関わっているのは、「浜町標本」をひとつのきっかけとして、浜町の商店街を彩っていければと考えているからです。浜町商店街は、通りの両側にお店がぎっしりと立ち並ぶような商店街ではありません。清洲橋通りと新大橋通りに面した広いエリアに、個性的でおしゃれなお店が多く点在しているのです。明治座から浜町緑道を抜けて、浜町公園へと向かうエリアはグリーンベルトと呼ぶにふさわしく、さまざまな樹木が植えられたくつろぎと憩いの空間です。ここをスタート地点として散策しながら、カフェに立ち寄ったり、名店シェフの料理を味わうというのも、この商店街のおすすめの楽しみかたですね。エリア内には、相撲の荒汐部屋があり、窓越しに稽古の様子が見られると、早朝から多くの外国人観光客で賑わっています。

そしてこの浜町商店街の一角にあるのが、私の仕事場である経新堂稲崎です。江戸天保年間より日本橋で5代続く表具店で、大経師の称号をたまわっています。掛け軸や額装、屏風や襖など表具全般を手掛け、代々の世襲技術に独創を加えたオリジナルの品々の製作に取り組んできました。なかでも弊店でも最も大きなウエイトを占めるようになってきたのが、古美術の修復です。古くなってシミが出てきてしまった絵画などを修復をして、後世に残そうという取り組みです。表具師の持つ修復技術は、多くの古書画を現代に伝える大切な技術でした。弊店でも江戸の時代より受け継がれたこの技術によって、多くの作品が後世に伝承されるよう、作品の保存・修復に取り組んでいます。興味のある方は、どうぞ見学にいらしてください。お待ちしています。
ナウマンゾウと浜町商店街
- 住所
- 東京都中央区日本橋浜町2-59-3
