東京都”中央区びと。”に聞く中央区おすすめスポット

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ホテルかずさや

創業は1891年。日本橋の歴史を伝える老舗ホテルとして、和モダンな大浴場や江戸の粋が色で感じるお部屋として2020年に新規オープンしました。

ホームページ
https://www.h-kazusaya.co.jp/
住所
中央区日本橋本町4-7-15
電話番号
03-3241-1045

常盤橋公園

常盤橋公園

私は、中央区立常盤小学校の出身なのです。この校名は、江戸城と江戸城下街をつなぐ架け橋とも云われ、現在、外濠に現存する唯一の門でもある「常盤橋御門」にちなんでつけられたといいます。聞くところによると、その前身は江戸時代の寺子屋だったそうですから、中央区でも最も古い学校のひとつといえるでしょう。そして常盤橋公園は、私の小学校時代の遊び場でした。園内には、新一万円札に描かれた渋沢栄一さんの銅像が建てられていために、私たちはこの公園を渋沢公園と呼んでいたのです。当時、渋沢さんがどんな人物だったのかも、まったく知りませんでしたが、だからこそいま、この像の前に立って、幕末から明治、大正、昭和を生き、日本経済の礎を築いた彼の偉業を讃えたいと思うのです。

江戸幕府を開いた徳川家康は、貨幣の鋳造機関として、金座や銀座、銭座を設立しました。なかでも金座は、金貨を鋳造し、通貨を発行するという、現在の中央銀行に相当する役割を担っていました。そして、この金座のあった江戸本町一丁目は、現在の中央区日本橋本石町にあたります。すなわち現在の日本銀行本店は、江戸時代の「金座」跡に建てられたのでした。渋沢栄一は、攘夷の志に燃えて江戸に出たものの、のちに十五代将軍となる一橋慶喜に仕えることになリます。そして、明治初期には、第一国立銀行の経営を担うなど、日本の金融界の発展を支えました。つまり、江戸城を守る常盤橋御門と日本銀行からもほど近い場所に銅像が建てられたのは、彼の業績にふさわしいことだったといえるでしょう。

話はここで一転するのですが、日本橋本町で私が運営する「ホテルかずさや」の前の通りは「時の鐘通り」という名前がつけられています。江戸の時代に、この通りに時間を告げる「時の鐘」があったためです。時の鐘は、現在、時の鐘通りの終点にある十思公園に現存します。この公園は小伝馬町の牢屋の跡に作られた公園で、幕末の思想家・吉田松陰の終焉の地でもあります。そして、この通りには、俳人・早野巴人(はやのはじん)の住まい「夜半亭」があり、若き与謝蕪村はこの夜半亭に住まい、俳諧を学んだといいます。また、ポルトガルに代わり日本への渡航、貿易を許されたオランダは、長崎の平戸(のちに出島に移転)にオランダ商館を築きます。このオランダ商館長が定期的な江戸参府の際に定宿としたのも、この通りの薬師問屋「長崎屋」でした。幕末にオランダ商館医となったシーボルトの江戸参府にあたっては、平賀源内や杉田玄白、青木昆陽などの蘭学者が「長崎屋」を訪ねたといわれています。

さきほどの常盤橋公園もそうですが、ホテル前の「時の鐘通り」だけを見ても、江戸の歴史がたくさん詰まっています。そんな日本橋で長年営業しているホテルとして何かできないかと、2020年の新規オープンにあたって日本橋を感じられるホテルとしたいと考えました。館内2階のホワイエを「時の鐘ミュージアム」として日本橋の歴史を紹介し、客室には、江戸の商人たちが編み出したとされる四十八茶百鼠 (しじゅうはっちゃひゃくねずみ)を参考に、茶色やグレーを掛け合わせた江戸を感じてもらえるトーンに仕上げています。

常盤橋公園

住所
東京都中央区日本橋本石町4-4-3
常盤橋公園
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